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もういいよと眼を閉じる




戸棚の中から1人暮らしのお友達、三分簡単クッキングの
インスタントカップラーメンを取り出してフタをあけた。

俺様馬鹿天使、もう面倒だから俺様と呼ぶ。

俺様は後ろから覗き込んでくるが
私は別段気にせずにポットのボタンを押した。


じゅぽぽぽー。


お湯が容器の中に注がれる音が静かに響いた。



「いやいやいや!!なんでそんなもんから水が出てくんだよ?!」


「水じゃない。お湯。」


「じゃあ何でそんなもんから湯が出てくんだよ?!
そもそも詠唱もしないとか一体どんな魔法だ!
今朝見たのといい、ありえねえだろ!
お前実は高位魔導師とかじゃねえよな?!」


「・・・いや、意味分からないから。
これ電気で動いてるから。科学の進歩だから。」


・・・・アンタ頭大丈夫?


その言葉を言うのをグッと全力を注いで我慢して
出来上がったラーメンをズズズ、と啜ってその日の夕飯は終わった。


そういえば。



「夕飯欲しい?」


「聞くのが遅えだろッ!」


「・・・欲しいのですか。」


「ふ、俺様は天使様だからな。
人間が食うものなんざいらねえ。
まあ、どうしてもって言うなら食ってもいいぜ!」



あぁ、何かこいつ相手にするの、めんどくさい・・・。


そう私は独りごちた。


「はい、これタオル。
シャワーの使い方教えるからこっち来て。」


「シャワー?」


「あー・・・、水浴び・・・?」



とりあえずお風呂場突っ込んだら悲鳴が聞こえた。




・・・さて、さっさと客間に布団でも敷いておこうっと。
















---------拝啓 私へ。

今日は良い天気でした。
だけど、私の心は大嵐です。
自称天使・・・じゃなかった。
俺様天使が不法侵入してきました。
しかも居付かれました。

(そうそう、天使って性別があるらしいです。)


その問題児は今、縁側で寝ています。

・・・雀がお腹にのってる。

そいつ起こさないでよ。寝てる時だけ静かなんだから。


また、お手紙書きます。

---------敬具